開杭の家
2018年度 Good Design賞 受賞
施主は建築設備設計の仕事をされており「省エネルギー性に配慮した家」という要望からプロジェクトはスタートしました。
設計を進めるにあたってシンプルな2つのテーマを設定しました。
1つ目は、省エネルギー住宅を目指すにあたって、空調、照明などの建築設備になるべく頼ることなく快適に過ごせる空間をつくる。
2つ目、建築的に長寿命であるという事。
あまり関連のない要素のように思われるかもしれませんが、この2つの関係はとても重要で、省エネは何十年間というシュミレーションを行いその結果から性能を確認しています。
当然ですがこのシュミレーションと現実を一致させるには建物や設備が長持ちするという事が大前提となり物理的にはもちろん、デザイン、機能的にも長寿命である事が重要となります。
この計画地は小高い丘になった敷地を分割していた為、最初に敷地を確認した時には道路と敷地の間に間知石積み、約2メートル程度の段差があり道路から敷地へ直接アプローチできないという特殊な状態でした。
通常は、敷地を掘削して新しく擁壁、外溝、階段等の造成を行った後、建築物を載せるという順序になる事が多いのですが、この計画では擁壁と建物を分割することなく一体となった計画としています。
このヴォイドの高低差と奥行きを利用して熱、光、風、湿度をコントロールする事を試みています。
最終的にはネット・ゼロ・エネルギーハウス支援事業(ZEH) 認定を取得しました。
タイトルの開杭というのは、石炭を採取する道をつくる為に岩盤に孔けられる穴をさします。
建物のファサードのデザインイメージからこの名前が付けられていますが、この家では太陽光によりエネルギーがつくり出されています。
エントランスのガラス玄関ドア
ダイニングの吹抜けに面した北側のハイサイドライトよりやさしい自然光を取り入れています。
日中は照明が不要なため省エネにも貢献しています。
窓を設ける事で自然光の差し込む明るいキッチンになっています。
既成品のキッチンと制作のバックカウンターを組み合わせ大容量の収納スペースを確保
LDKスペースに隣接する和室スペース。襖で仕切る事ができます。
デザインを統一するためシンプルな和の設えとしています。
和室に設けられている階段を利用した飾り棚
制作家具で柔らかに間仕切られたスペース。階段の吹抜けへと接続された伸びやかな空間としています。
Credits
所在地:大阪府 豊中市 緑ヶ丘
施 主:個人邸
床面積:127.0m2
業 務:新築
構 造:木造 地上2階建
設 計:一級建築士事務所ケンソウアーキテクツ
構 造:一級建築士事務所ケンソウアーキテクツ
主用途:個人住宅
写 真:平井美行写真事務所 平井美行