石の家
施主からいただた要望は、一人暮らしとなった施主の母が住んでいる既存の木造住宅を解体し、その場所に新しく2世帯で生活できる場所を計画する事であった。
一つの建物内に出入口の異なった別の2邸の家をつくる。という方法は比較的一般的な設計内容となる。しかし、
2世帯による話し合いを重ねた結果、明確な境界を設ける事無く、適度な距離を保ちながら快適に生活できる方法を模索する事になった。
個々の空間の段階的な分節を行ない、それらを中間的な領域で接続する事でプライバシーを守りながらもよりよい関係性を築くような計画を成立させる事を試みている。
祖母から両親そして子供へ3世代にまたがる2家族。
解体撤去される木造の旧家の至る所から使用可能な部材を取出し、思い出とともに新しい家でそれらを再構築。
欄間、床の間、違棚、障子、飾り棚建具、照明器具など解体前の古屋に設置されていたそれぞれのパーツを確保し2階部分に寄せ集め再構成している。
新しく設置された床や天井などはマテリアルや色調が既存部分と調和するように加工や選定を行なった。
記憶を引き継ぎながら、あいまいな人の距離と時間をつくり出す事を考えデザインを行なった。
Credits
所在地:大阪
施 主:個人邸
床面積:190.07m2
業 務:新築 設計・監理(一部古材移設)
構 造:鉄骨造
設 計:一級建築士事務所ケンソウアーキテクツ
構 造:土屋構造設計
施 工:有限会社ハンドハウス
主用途:2世帯住宅
写 真:松岡写真事務所 松岡宏和 / 犬走 哲